【速報】大学では世界初!近畿大学がニホンウナギの完全養殖に成功

【速報】大学では世界初!近畿大学がニホンウナギの完全養殖に成功

 近畿大学は、水産研究所(本部:和歌山県白浜町)で、絶滅危惧種に指定されている二ホンウナギの完全養殖に成功したと発表しました。26日午後の会見で発表し、今年7月に親魚より仔魚を得ることに成功し、仔魚の飼育期間は112日になっているということです。 【動画】価格高騰のウナギ、将来食べられるのか…完全養殖や大量生産に挑む研究の最前線

近畿大学の会見(26日)

 今後3か月から半年程度でシラスウナギ(稚魚)に成長し、一般的な食用サイズになるにはさらに1年ほどかかる見込みだというです。研究開始から約50年。研究者は「難しいことにチャレンジした結果」と喜びを表現しました。  ニホンウナギは、2013年に絶滅危惧種に指定され、市場で流通しているのは、漁師が獲った稚魚のシラスウナギを養殖したものがほとんどです。しかし、シラスウナギの漁獲量は年々減少傾向で、2023年には1kgあたり250万円と、2021年から比べると2倍近く高騰しました。

■研究施設を独自取材、完全養殖とは…

近畿大学の水産研究所

 今回、近大が成功した「完全養殖」とは、研究所内で産卵・孵化・成長、そして産卵というサイクルを生み出す、天然のシラスウナギ資源に頼らない方法です。  読売テレビでは、今年の夏にその研究施設を取材。特別に内部を見せてもらうと、黒いビニールハウスに覆われた水槽がありました。黒いビニールハウスの中にいるのは、シラスウナギに成長する前の「仔魚(しぎょ)」と呼ばれるウナギの赤ちゃん。仔魚は非常に繊細で、水槽に光が入ってしまうと暗い所に固まり、底などに頭をこすりつけてケガをしてしまいます。そのため、できるだけ光が入らない状態で飼育をしようと黒く覆っているとのこと。また、エサやりにも手間が。エサやりは1日5回ですが、自分でエサを食べることが難しい仔魚は、偶然エサにぶつからないと食べません。水はきれいな状態を保つためにかけ流しているほか、別の水槽への入れ替えも行う必要があります。  近畿大学・水産研究所の田中秀樹教授は「この時期の仔魚は、網ですくうと、みんな死にます。体の表面が傷ついて、全部死にます。だから、網ではすくえません。水と一緒に移動させる必要があります」と話します。  完全養殖には、天然のシラスウナギを養殖するよりも、少なくとも10倍コストがかかるとのことです。  田中秀樹教授は「このまま利用するばかり、天然のものを取り続けるばかりでは、良くない。『養殖に使う稚魚は、人工的に作るべきだ』というのが、ポリシーです。持続的に利用し続けるためには、コストはかかっても、人工的に作るべきです」と完全養殖の必要性を語りました。  ウナギの完全養殖については、2010年に国立研究開発法人水産研究・教育機構が世界で初めて成功していますが、大学としては初の成果だということです。

■今後の課題

近畿大学の会見(26日)

 会見で研究者らは「難しいことにチャレンジしてきた結果」と喜びを表現した一方で、今後の展望については慎重な姿勢を示しました。  今回の研究では、完全養殖に成功したものの、規模はまだ極めて小さく、ウナギは受精卵を得てシラスウナギ(稚魚)にするまでが一番難しいとされています。  近大は、「現状の技術では特殊な小規模水槽でのみ飼育が可能なものであり、既存の技術では、シラスウナギを低コストで大量生産できる目途は立っていない」としました。

■近畿大学におけるウナギ研究の経緯

1976年 ウナギの種苗生産研究を開始 1984年 採卵・ふ化に成功するも餌を食べるに至らず 1998年 研究を中断 2019年3月 研究再開 2019年9月 人工ふ化に成功

Leave a reply

*
*
* (公開されません)